染める

昔の小倉織の袴や羽織には、藍・茶・白・灰色など限られた色しか使われていませんでした。しかし江戸時代の日本人は、茶やグレーの中に「四十八茶百鼠」と言われるように多くの色合いを受け止める感性を持っていました。また、藍で染めた色にもごく薄い瓶覗(かめのぞき)に始まり浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、藍(あい)、紺(こん)、褐色(かちいろ)などたくさんの名がつけられていました。茶色には、梅茶、山吹茶、海老茶など、鼠色には、桜鼠、銀鼠、利休鼠、深川鼠など、趣のある色名がありました。

藍染

藍染は藍草を発酵させた蒅(すくも)を染料にして染めます。
すくもを微生物の力を借りて発酵させることを藍建てといいます。藍建てすることで初めて藍色に染めることができます。

すくも藍の発酵建て

①木灰に熱湯を注いで一晩置き、上澄みの灰汁(あく)を取ります。(6~7回)

②すくもに石灰と温めた灰汁と加えてよく練ります。

③団子状にしたものを藍瓶に入れ灰汁と栄養源となる酒を加えます。

④藍が発酵し藍の華が大きく元気になったら、
染め始めることができます。(約1週間)

⑤糸を藍瓶の中でゆっくり動かした後、引き上げてしっかり絞り、水洗いしたあと広げて空気にあてることで酸化して藍色に発色します。

発酵建てしたすくも藍で、淡色から濃色までの藍色を染める事ができます。

その他の天然染料

木綿に染まりにくい染料を定着させるのに、かつては豆汁を付着させたり、タンニン分の多い染料で下染めしたりしていました。しかし、現在では化学的に濃色処理を施すことが出来ますので、デザインに合わせて豊かな色合いを楽しむことができます。


(アカネ)

矢車附子
(ヤシャブシ)

胡桃
(クルミ)

紫根
(シコン)

槐樹
(エンジュ)

コチニール

槐樹

蓼藍の蒅

豆知識

藍は毎日の世話が大事です

藍を発酵させる微生物の生育を助けるのに毎日の温度とpH(アルカリ酸性の度合)の管理、栄養補給、撹拌が必要です。

自然や生活の中の染料

玉ねぎの皮や、草・木の枝葉を刻んで煮出した液で染めることが出来ます。身の回りには下の写真以外にも染料として使えるものがたくさんあります。

玉葱

茶の木

ヨモギ

椿

日本人の色彩感覚

その他にも様々なものからイメージしてつけた色の名前があります。

  • 山鳩色
  • 薔薇色
  • 苺色
  • 桜色
  • 桔梗色
  • 卵色
  • 青竹色